5月12日、第91回関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)が国立競技場にて開幕した。 春季トラックシーズン大一番の今大会で早稲田は初日から数々の種目で入賞者を輩出。チームの好調ぶりをアピールした。
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100m決勝の九鬼。見据える先は学生対決の域だけにとどまらず、国内トップ選手への挑戦なのだろう。
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100m決勝では九鬼巧(スポ2)が2位に入り、目標としていた表彰台を達成した。
しかし、準決勝から同じ組だった中大・飯塚に先着を許したことについては、「(飯塚が)後半くるのは高校時代の経験からわかっていた」と想定していた上で「勝ちたいなと思っていたけど、準決勝から(後半で)交わされて悪い流れを作ってしまった」と反省もあったようだ。
また、一見良好に感じられた決勝でのスタート反応も、礒繁雄監督(=昭58年教卒)からは、来月開催の日本選手権を見据え 「まだまだ」と指摘を受けた。
今年の日本選手権開催地は大阪。関西圏出身の九鬼が出場するとあり、地元の友達や先生が応援にかけつけてくれるそうだ。そのためにも第一の目標は決勝に進出すること。今シーズン波に乗っている九鬼に来月も目が離せない。
400mに出場した4年生コンビ、牧野武(スポ4)と浦野晃弘(スポ4)は明暗が分かれた。
準決勝で3着に入り決勝進出を決めた牧野は、決勝で終盤に猛烈な追い上げを見せ、表彰台こそ逃したものの4位入賞を果たす。
一方の浦野はまさかの準決勝敗退。「タイムどうこうというよりも、とにかく勝ちたい」と、主将であるからこそインカレに懸ける想いも人一倍。だが、今回はそれに気を取られすぎて自分自身のレースに集中できなかったことが敗因だった。「ゴールした瞬間は絶望でした」と苦汁をなめた浦野だったが、来月には日本選手権が控えている。ロンドン五輪最終選考会となるこの大会でなんとしても代表の座をつかみたいところだ。「ここでオリンピックを決めたら早稲田の流れも変わると思う」と語る浦野。主将としての自分、そして陸上競技を続けていく自分自身のために戦いはまだまだ続く。
リレーでは4継、マイル共に予選1着での決勝進出となった。マイルには期待のルーキー木村賢太(スポ1)も加入し、シーズンベストを記録。一方4継は「バトンが上手くいかず40秒かかってしまった(九鬼)」と課題もあった。予選で得た課題を克服し、来週の決勝ではリレー2種目で表彰台を狙う。
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100mH準決勝で打ち出した大会記録を、決勝では更に更新する見事なレースを見せた紫村。 日本選手権では他選手を抑え優勝なるか、期待がかかる。
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短距離女子勢の大躍進も止まらない。
紫村仁美(スポ4)と蔭山愛(教4)はそれぞれ初日、2日目共に3本のレースをこなす多忙ぶり。そんな中、先日ロンドン五輪B標準を突破した紫村が今大会で100m、100mHの2種目優勝を達成した。特に専門の110mHについては「大会新で優勝したい」とかねてから宣言していた紫村。「(4年生として)姿勢だけでなく競技の結果面でも引っ張っていきたい」と、まさに言葉通りの結果になった時の喜びはひとしおだったに違いない。
蔭山も100mは本来の強さが鳴りを潜め、6位入賞に留まるも、400mでは序盤から積極的なレースを展開、自己ベストに迫る54秒26の記録で3位に滑り込んだ。
10000mでは始終上位集団でレースを展開した平賀翔太(基理4)が6位入賞。セカンドベストとなる28分46秒16の記録については「最低でも出したいと思っていた28分台が出せたので良かった」と振り返る一方で、「(5000m過ぎに)集団から飛び出た選手に対応できず、目標としていた上位入賞を果たせなかったのでまだまだ」とインカレだけに順位については納得していない様子だ。
体調を崩していたという山本修平(スポ2)は目標を当初定めていた上位入賞から最低限入賞へとシフト。レース中は「走っている感覚もかなり良く、入賞できるかなと思っていた」ものの、終わってみれば11位でのフィニッシュとなり、「インカレはそんなに甘くないことを実感した」という。それでも今回の感覚をプラスに捉え、「走りは良い方向へと戻っているので、今後は記録を狙っていきたい」と意気込む山本。次のレースが楽しみである。
そしてこの大会では小柄な伏兵選手が牙を剥いた。女子10000mに出場した天児芽実(スポ4)だ。
レースは序盤、ゆったりとしたペースで展開され、大きな集団の中で天児はやや前方の位置をキープし淡々とリズムを刻む。その集団に変化が見られたのは5000m過ぎ。集団を牽引していた選手の交代によるペースアップに伴い、10人弱の第一集団が形成されると、天児もその集団後方につき、変化に対応した。そしてラスト1周、天児がラストスパートをかける。後方からじわじわとペースをあげ、ラスト5mで2〜3人の選手を振り切り、堂々の3位フィニッシュを遂げた。レース直後も笑顔を見せた天児。34分12秒79の記録で、それまでの自己ベストを大幅に更新した。
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もはや学生界に敵無しのディーン。日本選手権では村上幸史(スズキ浜松AC)との直接対決に注目だ。
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フィールドでは初日からやり投・ディーン元気(スポ3)が魅せた。2投目で81m54のビッグスローを披露し、他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せつけ優勝。A標準(82m00)を突破した織田記念以後、試合毎にそれ相応の記録を出し続けているディーン。来る日本選手権では記録と同時に、メダルの色にも期待がかかる。
また、女子砲丸投では早稲田記録保持者の神保恵理(スポ4)が14m04で試技を終え、3位入賞。記録こそ自己ベストには及ばなかったものの、自身初となるインカレでの表彰台獲得を達成し、満面の笑みを見せた。
天候に恵まれた関東インカレ前半戦。早稲田は2日目終了時点で対校得点(男子一部)が1位筑波大(64点)とは31点差の4位。追いつくのには決して容易い数字ではないが、インカレ後半にはリレー種目をはじめ、大量得点が期待できる種目が数々ある。
2年連続の総合優勝を達成するべく、来週末もチームが一丸となって国立競技場を盛り立てるに違いない。
※選手によるコメントは下記URLよりご覧いただけます。
浦野晃弘主将(スポ4)、九鬼巧(スポ2)、平賀翔太(基理4)、山本修平(スポ2)
関連URL
早稲田大学競走部公式サイト
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